痛くなった歯を治療して終わり…ではなく、定期的に歯科医院にメンテナンスにおいでください。
定期メンテナンスを受けられると、歯周病やむし歯の再発率を低くすることができます。
かみ合わせや入れ歯・義歯のチェック・調整も出来ます。その結果、生涯にわたりお口の中を快適に維持することが可能になります。
食生活の不備が原因でむし歯が多発した例です。
女性 20歳代。
歯ブラシはきちんとしていますが、歯の付け根が連続してむし歯になっています。(根元の白い部分)
このまま放置すれば40歳代には確実に奥歯は抜歯になるでしょう。
こういった方はまず食生活をチェックします。甘いものを度々食べている場合には、その回数を減らすようにご指導します。
「悪くなったらばその都度治す」では費用もかさみ、口の中もだんだん崩壊していきます。
それよりも、定期的なメンテナンスで健康な状態を維持したほうが良いと思いませんか?
頻度はむし歯、歯周病リスクの低い方であれば3~4ヶ月に一度の来院で充分です。(個人差があります)
きちんと定期クリーニングを続けて、健康な口腔内を維持している方の例です。
女性70歳代。
定期管理開始時は1992年。
以後定期健診とクリーニングに欠かさずにいらしていただきました。
2009年、17年経過時です。
多少歯の欠けた所を接着で修理したりしていますが、ほとんど口腔内の状態は変わりありません。
メンテナンスでは、歯科衛生士が患者さんの口腔内をチェックし、主に歯石やプラークの汚れを除去します。
むし歯予防のためのフッ素も塗布します。
むし歯、かみ合わせ、詰め物・被せ物・義歯、歯周ポケットなどもチェックします。必要な場合には歯科医師と連携し、経過観察もしくは治療を行います。
磨き残しがあるようでしたら、その部位のご指摘や、歯磨き方法・歯ブラシの選択・デンタルフロスや歯間ブラシの使い方などをお伝えいたします。
カリオロジーとは、むし歯の実体をきちんと把握してコントロールするという学問です。
カリオロジーの中では、しっかりした予防を行い、治療においても、むし歯ができた場合削る量を最小限におさえ、再石灰化をうながします。
削る量を最小限におさえると、キーンとしたイヤな歯を削るドリルもほとんど使わなくて済みます。
むし歯ができるには、細菌と宿主・歯、糖類の3つが原因と言われており、この3つの重なる時、むし歯を引き起こします。
カリオロジーは、むし歯の原因1つ1つをときほぐし、個人個人がどのような状況にあるか、というところから、予防への道しるべを作っていきます。
お口の中の細菌について、ご自分の歯の強さについて、食習慣について、見直すことから始めるのがカリオロジーです。
当歯科医院では、患者さんにあわせて予防を考えていきます。
歯は虫歯菌によって作り出される酸によって溶けることが分かっています。これを脱灰といいます。
歯が溶け出す限界の酸のpHを臨界pHといい、pH5.4付近になると歯は溶け始めます。
ですが心配は要りません。歯は溶けるだけではないのです。再石灰化も同時に行っています。
酸によって溶け出した歯の成分は一旦唾液に中に取り込まれ、再び歯の表面に付着し、吸収され、再石灰化を起こします。
唾液による再石灰化が始まる前に何か物を口にしてしまったり、ダラダラと長時間口に食べ物を入れてしまうなど、規則正しい食生活ができていないと、再石灰化よりも脱灰の方へバランスが崩れ、歯が溶ける原因になってしまいます。
【 フッ化物について 】
フッ化物は歯の成分であるカルシウムと結合し、歯の表面の結晶構造を強くし、むし歯になりにくくするた効果があります。
使用方法はいくつかあり一般的には、歯の表面に直接塗る「フッ化物塗布」、「フッ化物配合歯磨き粉の使用」、フッ化物の入ったお水でぶくぶくうがいを行う「フッ化物洗口」があります。
フッ化物による歯へのメリットは多岐に渡ります。特に、歯が生えて間もないお子さんのむし歯予防には非常に効果的です。もちろん青壮年期のむし歯予防にも効果があります。
歯磨きとフッ化物の力を合わせて行くことで、よりむし歯になりにくい環境を作っていくことが可能です。
毎日の歯磨きがむし歯を予防する最良の手段ですが、全ての人が完全な歯磨きができるわけではありません。
磨き残しがどうしてもでき、そこからむし歯になることもあります。また、毎日の歯磨きだけでは歯周病を防ぐことができません。
歯周病予防には医院での歯石除去が有効です。
来院されるペースは患者さんによって違いますが、3~4か月に1回が目安になります。
毎日の歯磨きと医院での定期的な健診により、生涯ご自分の歯を保つ事が可能になります。