精密根管治療


当院では、マイクロスコープラバーダム防湿法ニッケルチタンファイルといった機器を使用し、

 

米国・ペンシルベニア大学で行われている根管治療の術式で治療を行う精密根管治療を実施しています。

 

根管治療とは、虫歯が進行し、歯の神経(歯髄)まで達してしまった場合に必要となる治療法のことを言います。

 

具体的な治療内容は、虫歯に感染した神経を取り除き、根管(神経が入っている管)をキレイに清掃してから

 

被せ物をするというものです。

 

「根管をキレイに清掃する処置」は非常に困難を極めます。

 

根管は非常に複雑に入り組んでいる上、しっかりと清掃を行わなければ、「痛み」「腫れ」などの原因となり「根尖病変」という

 

病気になってしまうからです。

抜歯と言われた歯でも残せる可能性がある「精密根管治療」


ここまで虫歯が進行してしまった場合の治療法としては、虫歯菌が感染した神経を取り除き、根管(神経が入っている管)を

 

徹底的に無菌化してから神経の代わりになるお薬を入れ、土台を立てかぶせ物を装着していきます。

「根管を綺麗に清掃する作業」は非常に困難を極めます。

 

なぜなら、左図のように、根管は非常に複雑に入り組んでおり、完璧に清掃を行わなければ、

 

「痛み」「腫れ」などの原因となり、「根尖病巣」という病気にもなるためです。

 

この画像内の黒い部分が、神経の入っている管であり、このすべてを綺麗に清掃する必要があります。

 

しかしながら、ほとんどの歯科医院が行っている従来の根管治療では、綺麗に清掃することは困難です。

 

これは、保険制度の関係で、治療単価の低い根管治療に時間をかけることが難しく、また、最先端の設備が非常に高額であるためです。

 

当院では、根管治療を成功させ、他院で残せないと言われた歯でも、可能性がある限り残すために、他院とは異なる様々な特徴が

 

ありますので、それについては次節からご紹介したいと思います。

 

※マイクロスコープを用いた「精密根管治療」は自由診療となり、健康保険は適応されませんのでご了承ください。

治療精度を高めるマイクロスコープ


「マイクロスコープ」とは、治療部位を拡大して見ることのできる手術用顕微鏡のことです。

 

歯根の中を正確に見ることができるため、根管治療において、成功率を上げるためには絶対に欠かすことのできない機材といえます。

 

当院ではこのマイクロスコープとラバーダムを組み合わせて使用し、さらに成功率を高める治療を行っております。

上の画像が「肉眼」で見た状態と、「マイクロスコープ」で見た状態の比較になります。

 

どちらの方が精度の高い治療ができるかは一目瞭然ですね。

 

当院ではマイクロスコープを導入したことにより、「抜歯と再治療」という最悪のシナリオを回避する確率が飛躍的に高まりました。

 

根管治療においては「見える」「見えない」というのは、治療を成功させるためには非常に大きな違いとなります。

 

他院で抜歯と言われたが当院で保存したケース1


30代男性。他院にて左下6番の根管治療をしてきたものの、一向に治る気配が見えず、歯茎の腫れ・痛みの症状が出たことを

 

きっかけに当院へ来院されました。

 

CTを撮影したところ、左下6番の不十分な根管充填により根尖病変が広範囲に拡大し骨が溶かされていました。

 

下記のCT画像の右側は、左側と同様の写真で根尖病変の範囲を赤色で囲ったものです。非常に大きな根尖病変であることが

 

分かるかと思います。


マイクロスコープを用いた精密根管治療にて治療をさせていただき、治療終了から約半年が経過した時点でのCT画像は次の通りです。

 

骨が溶けていれば黒く映るのですが、黒い箇所は少なく、骨が再生されてきています。現在特に症状もなく、問題なく咬めています。

他院で抜歯と言われたが当院で保存したケース2


20代女性。3、4年前に治療した右上6番の歯茎が腫れていることに気づき、かかりつけ歯科医へ受診したところ

 

根管が塞がっているので治療できないと言われ、抜歯を薦められたそうです。

 

ですが、歯をどうしても残したいという強い思いから当院へ転院されました。

 

歯茎を見てみると、青丸で囲まれている部分にサイナストラクト(膿が出る通路)が確認でき、数年前に処置した根管内が

 

細菌感染し再治療を要するものでした。

レントゲン写真を撮影してみると右上6番の根の先端に病変が確認され、3本ある根のうち1つの根しか治療されておらず、

 

それも根の途中までしか治療されていないことがわかりました。不完全な根管治療が原因で細菌感染を起こし、腫脹につながったと

 

診断できます。

こちらの患者様も精密根管治療で処置したのですが、根管充填後のレントゲン写真はこちらです。

右上6番の右側にある近心の根管は、かなり湾曲しておりますが、しっかり根の先まで薬が充填されていることが分かります。

 

下記の写真は他の患者様ですが、左の写真は肉眼で歯を見た場合のもので、右側は肉眼の20倍に拡大して根管内を確認したものです。


これらの写真で分かるように、マイクロスコープを用いることで、肉眼では見えづらかった箇所が目視にて感染物を除去できるように

 

なり、再感染を防ぐ薬を充填しやすくなります。また、閉塞してしまい、肉眼では確認できない根管を見つけることも容易に

 

なります。下記の写真に示すように肉眼では発見が難しく、感染源の原因のひとつとなる副根管も確認することができるようになります。


    治療開始時は1つの根管の入り口しか確認できず周りの

 

    汚れも多い状態でした。

     1根に2つ目の根管と周囲の汚れも除去されたことが

 

      確認できる


 

今回の症例のように非常に湾曲した根管では柔軟性の高いNitiファイル(ニッケルチタンファイル)を用いたことで治療効果を高めました。

 

しっかり原因を取り除くことができ、現在では治癒し「抜歯」という選択肢を避ける事が出来ました。

根の治療の成功率を高めるラバーダム防湿


ラバーダム防湿とは、治療する歯以外を薄いゴム製シートで覆いかぶせて口腔内の唾液や細菌に

 

よる治療部位への感染を防止する道具です。

 

ラバーダムを使用することで、様々な口腔内細菌が根管に侵入するのを防ぎ、無菌的な処置を

 

行うことが可能になります。

 

逆を言えば、ラバーダム防湿を行わないで行う根管治療は細菌感染の可能性が高まり、

 

                     再治療の原因ともなります。

根管治療でラバーダム防湿を行うことは欧米では必須の処置となりますが、日本で実施している医院は全国でも数%しかないと

 

言われています。保険診療ではこのラバーダム防湿を行うことに点数がつかないためです。

ニッケルチタン(形状記憶合金)ファイルの使用


根管内の感染物を除去するために「ファイル」と呼ばれる医療器具を使用します。

 

このファイルは大きく分けて二種類あり、ひとつが「ステンレスファイル」(隣の写真では左)、

 

もうひとつが「ニッケルチタンファイル(NiTiファイル)」(隣の写真では右)というものです。

 

多くの歯科医院ではステンレスファイルのみを使用していますが、当院では十分な柔軟性を持ち、

 

                                                 より感染物が除去できるニッケルチタンファイルも同時に導入しています。

 

                                                 これにより、患者様の歯を残すための精密根管治療が可能となるのです。

  精密根管治療 保険根管治療
 適用 可能な限り歯を残し再発しづらい環境を作る治療  保険のルールに沿っての最低限の治療
概要

・ラバーダム防湿法、マイクロスコープ、

 ニッケルチタンファイルを使用して精密に治療ができる

・1回のアポイント時間を長くとれる。

 (じっくり丁寧に治療ができる)

・ステンレスファイルを使用した

 従来通りの治療方法

治療時間

60分〜90分

30分
治療回数

1〜2回

4〜5回
再治療になる可能性

低い

高い
費用

自由診療

健康保険適用